生意気なハケン君
――ブロロロ……。








私と神城を乗せたタクシーがアパートの前から去っていく。




神城は酔い潰れた私を抱き抱えて、シーンと静まり返るアパートの敷地内を歩いていた。






「課長、家の鍵はどこですか?」

「鍵……?かば…んの中……」

「今鍵を出しますから、ちょっと座ってて下さい」





そう言って意識が朦朧とした私をアパートの階段に座らせると、


神城は私の鞄の中に手を入れ、手探りで鍵を探し出した。





そして鍵が見つかると、私の部屋の鍵穴に差し込んで扉を開けた。





「今開けましたよ、立てますか?」

「ん……、大丈夫……」






俯きながら頭を抱える私に、神城が手を差し出してくれる。





私は深いため息をつきながらその手をギュッと握ると、



まるで介護をされてる老人のように、手を引かれ部屋の中へ足を踏み入れた。







「……」







私の部屋を見た神城は思わず絶句していた。







ベッドの上には脱ぎっぱなしの衣服。


台所に無造作に置かれた飲みかけのビール缶。


ゴミ箱にはスーパーの惣菜で使用したトレーが山のように入っている。
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