猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


かけ声に似合わず、獰猛さがにじみ出る銀の刃を担うことも唖然としてしまうが、それ以上にその考えに至ったエレナの思考がルカには理解不能だった。


馬(ペダル)を失って車両だけになろうともいきなり止まります、なんてことはないだろう。


御者は離脱。制御できる者がいない暴走車は横転。ドリフトに失敗した自滅を見ているようだ。


飛沫をあげて、水面を壊しながら、ずずっと五メートルほどスライディングした。


片車輪が外れ、宙を舞う。同時だったか、車輪が落下し、車両が消沈したのは。


「どーどー、大丈夫だよー」


「……」


いななく馬をいさめるエレナはもはや人災に思えた。

あの暴走車から離脱したのはルカとて同じだが、エレナの場合は降りた内に逃げようとする馬を掴まえる神風まで体に装備しているらしい。とりあえずは的確に迅速だった。


< 54 / 81 >

この作品をシェア

pagetop