猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


「どっちが災難か分かんないなー」


「自業自得だ。茶番にしては深く考えたらしいが、詰めが甘い。お前の強さを考慮に入れてなかったらしい。王様候補有力株の守護者だと言うのに」


言いながら、もしかしたらエレナが猫かぶりをしているのは強い事実を惑わすためかとルカは思った。


確かにこんな雰囲気を纏う少女に返り討ちにされるとは露ほども思うまい。


水を吸った重い靴を動かしながら、ルカは馬まで歩く。


「待ってくださいよー。というか、素手で首持つのは止めた方がいいです。ビジュアル的に!」


ポンチョを脱ぎながら渡してくるエレナ。汚れるぞと言いたくも、既に返り血で真っ赤。ピンクが赤に。染み抜きしても落ちない汚れだろう。


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