さくら色 〜好きです、先輩〜
広場の時計は午前10時を指した。
徐々に人が増え、いつもの賑やかさが戻りつつある頃。
「あ、姉ちゃんだ!」
「亮太君!」
広場の入り口から全速力で走ってきた亮太君は、私の前で立ち止まった。
「姉ちゃんも練習?」
「少しだけ身体動かしに来たの。亮太君は一人?」
「もうすぐ晃達も来るよ。あと兄ち…「「あれ?西原さん?」」
振り返ると、先輩が晃君に手を引かれて広場に入ってくるところだった。
先輩と会うのは土曜日以来初めてのこと。
一気に緊張が高まっていく。
「お、おはようございます…!」
「おはよう。今日部活は?」
「急に休みになって…」
亮太君達はボールを持って広場に散らばりウォーミングアップを始めた。
先輩も話しながらスパイクに履き替え、紐を結んでいく。