さくら色 〜好きです、先輩〜
その後、私達は校庭に急いだ。
「良かった。まだ試合やってるね。どっちが勝ってる?」
那奈は観戦してる人達の隙間から点数ボードを見ようと背伸びをしている。
「あーおーいー!なーなーちゃーん!」
私達に気付いた里美が、手を振りながら人の間を縫うように走ってきた。
「遅いよー!もうすぐ終わっちゃうよ!」
時計を見ると残り10分を切っていた。
得点ボードには両チームに1の札が掛かっている。
「同点だ!」
「桜井先輩が決めてリードしてたんだけどね、その後すぐ部長さんがゴール決めて同点になったの…桜井先輩凄いよ!本気って感じ」
珍しく興奮が最高潮に達した様子の里美。
私はグラウンドを見渡し、先輩の姿を探した。
「…せん…ぱい……」
フィールドでボールを追う先輩は、子供達とサッカーしてる時の楽しそうな顔とはまた別の顔をしていた。
中学の頃と同じ一生懸命で真剣な顔…