さくら色 〜好きです、先輩〜
「凄いキープ力…さすが強豪チームの副部長だね」
「小野田先輩も流石だよ…桜井先輩へのパスコースを完全に塞いでる。全く隙がないもん」
「でも、早くしないとディフェンスが戻って来ちゃうよ…」
私達は両手を顔の前で握りながら祈るように試合を見つめた。
お互い一歩も譲らない部長と副部長。
桜井先輩の所にはすでにディフェンダーが一人戻ってきている。
すると一瞬の隙を見て桜井先輩がディフェンダーの裏をついた。
直様柏木先輩に合図を送る。
それを見逃さなかった柏木先輩は小野田先輩を上手く交わしスルーパスを出した。
緊張の一瞬…
「ゴール!!」
「「「うっしゃー!!」」」
ボールは見事先輩に渡り、先輩の放ったシュートはゴールポストに吸い込まれていった。
それはもう華麗な弧を描いて。
ゴールキーパーの前で急激に軌道が変化したシュートに、誰もが“天才”の二文字を思い浮かべたことだろう。