さくら色 〜好きです、先輩〜

どのぐらい時間が経ったかわからない。

多分ほんの数秒だけど、何分も何十分も見つめ合っていたかのように感じた。


「…頭」

「えっ?」


沈黙を破ったのは、先輩に似たその男子生徒だった。


「花びら乗ってる」

「あ…」


髪をはたくと花びらが2、3枚ひらひらと地面に落ちていく。


花びらの行く末を見届けている間に、男子生徒は私の横をスッと通り過ぎた。

その瞬間、風に乗って爽やかな香水の香りが私の鼻を掠める。


この香り…今朝の…

やっぱり今朝すれ違ったのは勘違いじゃなかったんだ。


「あの!!!」


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