さくら色 〜好きです、先輩〜
「ったく。泣き虫だな」
「だって…」
「しょうがねぇ奴」
恭介は私の頭にポンっと手を置いた。
その手は、大きくて暖かくて何ひとつ変わってない。
登校中、恭介の今の気持ちを聞かせてくれた。
最後には、
“これからは幼馴染として俺をいつでも頼れよ!”
そう言って笑ったんだ。
いつか…恭介が誰よりも幸せになれますように。
学校に着き、ジャージに着替えて練習の準備を始めた。
「恭介君と仲直りしたんだ?」
「喧嘩したわけじゃないんですけど…でも、はい。仲直りしました」
「ふふ。良かった!二人とも良い顔してる!」
若菜先輩は事の成り行きを知らないけど私達が元気ないことを心配してくれていた。
周りをよく見てて思いやりがあって本当に優しい先輩だなって思う。
「あ、桜井君。おはよ」
若菜先輩は私の背後に向かって手を振った。
私からは見えないけどきっと後ろに先輩がいる…