さくら色 〜好きです、先輩〜

私はボールが6個分入ったダンボールを持ち上げた。

下で脚立を支えている先輩に声を掛ける。


「先輩、降ろしますね」

「ああ、ゆっくりでいいからな」


脚立の上から先輩にダンボールを渡そうとした、その瞬間…

先輩の手が私の手に触れた。


「…っ!!」


私は手をバッと勢いよく離した。


「うわっ!!」

「きゃー!!!」


ーーーーーードタン!ガシャーン!!


「イタタタタ…」


ゆっくりと目を開けると、薄暗い備品室には白い誇りが舞っている。

あれ…?


「…っ!」


一瞬何が起こったのかわからなかった。

徐々に頭の中が鮮明になっていき、私の下敷になっている先輩に気付いた。




< 280 / 499 >

この作品をシェア

pagetop