さくら色 〜好きです、先輩〜

「でも誰かに見られたら…」

「この辺からだったらうちの生徒は少ないだろうし、暗いから誰だかわかんねぇよ。それに俺が我慢出来ない」

「我慢?」

「やっと手に入れたんだ…これぐらいいいだろ?」


繋いでる手にギュッと力が入ったのがわかった。

先輩は私を幸せにする天才だ。

先輩の温もりが私の寂しさを一気に吹き飛ばしてくれた。

私はこの手があれば大丈夫。

昨日まで人一人分あいてた私達の距離は、今はもうなかった。


「秘密って言ったけど恭介には話そうと思ってる」

「恭介に?どうして…?」


私の心臓は恭介の名前が出た途端、跳ね上がった。


「ライバルだから。あいつには秘密に出来ない」




< 299 / 499 >

この作品をシェア

pagetop