さくら色 〜好きです、先輩〜

「レギュラーから外された奴は次第に退部してった。殆どがスポーツ推薦だから学校に居辛くなって退学したり転校したり…」

「お前は?」

「俺はもともと補欠だったし、転校するような頭も移籍する実力もない。それにこの学校は我慢してでも卒業したいんだ。母さんが女手一つで育ててくれて、無理言ってこの学校に入れてくれたから…」


矢野さんは今にも零れてしまいそうなぐらい目に涙を浮かべている。

悔しくて悔しくて仕方が無い気持ちがヒシヒシと伝わってくる…


「だから…俺と他の奴らの夢をお前に託す。こんなこと、言える立場じゃないけど…」

「俺に?」

「奏人が転校した後、皆後悔してた…どうしてあの時逃げてしまったんだろうって。全員で立ち向かえば奏人が辞める事もこんな風になる事もなかったのに。夏樹の暴走を止められたかもしれないのに…」


先輩は唇を噛み締めて俯いた。

肩が小刻みに揺れている。




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