さくら色 〜好きです、先輩〜
「私、医務室に行ってきます!」
私は一人、医務室に急いだ。
医務室までの道程がやけに長く感じる。
遠くで試合再開の笛が鳴り、応援団の声や大太鼓の音が聞こえ始めた。
「恭介!」
医務室の扉を勢いよく開けると恭介は一つだけあるベッドの端に腰を掛け、氷水の入った袋で足首を冷やしているところだった。
丸椅子には白衣で白髪交じりの男性が座り、書類を書いている。
「葵…」
「足、大丈夫なの!?」
側まで近寄ると、足首が大きく赤く腫れ上がっているのがわかる。
私は思わず眉を寄せた。
「ああ、大丈夫。ただの捻挫だよ」
恭介は足が痛むのか、額には汗をかき私には見せないように時折顔を歪ませている。
足の腫れ上がりからみても、とてもじゃないけど恭介の言う通りの捻挫には見えない。
「先生!こんなに腫れてるのにホントに捻挫なんでしょうか?」
先生は書いていた書類から顔を上げ、眼鏡を外した。