さくら色 〜好きです、先輩〜

「君はサッカー部の子かね?それとも…」


先生は私をジッと見据えてくる。


「幼馴染です」

「…じゃあ清水君を無理矢理にでも検査に連れて行ってほしい」

「検査って…やっぱり…」

「骨折しているかもしれん。だが、彼は今は試合が終わるまで行かないと言い張ってな…」


恭介は私と先生から気まずそうに顔を逸らした。


「「「ワァー!!」」」


その時、会場から物凄い歓声が聞こえた。

私と恭介はその歓声に耳を傾けた。


「…どっちがゴール決めたのかな」

「葵!悪いけど肩貸してくれ!試合観にいく」

「え?でも、病院に行かないと!」


私は氷水の入った袋を退かし、立ち上がろうとした恭介の肩を抑えた。


「葵。頼む…必ず試合が終わったら行くから」


恭介は皆が心配なんだと言った。

下手するとあと数人は怪我人が出るかもしれないって…


「こんな時に、一人で抜けて病院で検査なんて受けてらんねぇよ」


恭介のその言葉と表情からは悲痛の叫びが伝わってくる。



< 324 / 499 >

この作品をシェア

pagetop