さくら色 〜好きです、先輩〜
初戦はうちの学校の快勝だった。
心配されていた先輩の過去の足の怪我ももう何ともないようだった。
夏樹さんの学校も大差で一回戦を突破していた。
その試合で出た怪我人は相手チームに数人…
夏樹さんのやり方はインターハイの時と全く変わっていなかった。
次の日の元旦は試合がなく、体を軽く動かす程度の練習をしたあと皆で初詣に出掛けた。
絵馬に書いてることは皆同じ、優勝の二文字。
皆の願いは一つ。
その後も怪我人が出ることなく、順調に勝ち進んだ。
準決勝は全校生徒が国立まで応援に駆け付けてくれて、吹奏楽部の演奏、柔道部の応援団が盛り上げた。
試合は片時も心が休まる時がないほどの接戦。
私は客席の一番前の席でベンチに入れなかった部員達と固唾を呑んで見守った。
メガホンを持つ手に力が入る。
私は目を瞑って祈った。