さくら色 〜好きです、先輩〜

公園に入って木に挟まれた遊歩道を歩いていると、広場の方からボールが壁に当たる音が聞こえてきた。

遊歩道を抜けると、広場の明かりに照らされて制服姿の男子がシュート練習をしているのが見える。


「あれ?桜井先輩?」


恭介の声に気付いた先輩は、壁に跳ね返ってきたボールを右足で止めてゆっくり振り返った。


「おー。お疲れ」

「先輩も練習ですか?」

「まぁな。なんか落ち着いていられなくて、少し体動かしに」

「落ち着かないっすよね。先輩!俺も練習手伝います」


私はベンチに座って二人の練習姿をずっと見つめていた。


泣いても笑っても明日が最後。

三年生は明日引退する…


目に焼き付けよう…


三年生の最後の勇姿を。


悔いのない、思い出に残るような最高の試合になりますように…






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