さくら色 〜好きです、先輩〜
先輩とは渡り廊下で話した日から全然会ってない。
この前、事情も知らないで“先輩らしくない”なんて言ってしまったことを謝りたい。
それに先輩を待ってるって決めたことも伝えたかった。
「葵ちゃん、何で私があなたをマネージャーに誘ったかわかる?」
「えっと…部員目当てじゃなくて仕事をちゃんとする子がいいって…」
あっ…そうか。
今日は練習試合。
ここで抜けるなんて駄目に決まってる。
「ごめんなさい。やっぱり早く学校戻って準備しましょう」
相手の学校が到着するまであと一時間。
それまでに学校に戻って準備を終わらせないといけない。
「違うのよ。確かに真面目で長く続けてくれる子がほしかったけど、もう一つ理由があるの。葵ちゃんに桜井君がまたサッカーするように説得してほしかったから」
「私がですか?」
「監督も部員も桜井君がサッカー部に入部してくれたら嬉しいって言ってる。私ね、葵ちゃんがマネージャーになってくれたら桜井君がサッカー部に来やすいと思ったの」
若菜先輩は公園のサッカー広場がある方を見つめながら言った。