時は今
「──そういうふうに言われると…」
四季はどうしたものかという表情になった。
「プレッシャーなんだけど。僕をフォローする話じゃなかった?」
「うん…。まあ、そうなんだけど…」
「そっか。第2ピアノがフォローしてくれるんだよね。頑張ってね、由貴」
「うん…。…って俺!?第2ピアノ決定!?」
「他に誰がいるの」
「えー…ちょっと…」
「これで弾けるようになったら涼ちゃんとの連弾曲問題も解決だね。涼ちゃん第1ピアノ、由貴が第2ピアノ。すごくない?」
涼が素敵な話を聞いたように四季と由貴とを見つめる。
「涼、会長と『森は生きている』弾いてみたい…」
智が「あはは」と笑った。
「こりゃあいいや。会長、頑張れー」
「練習時間どうするんだよ。四季は体育の時間に音楽科と合わせられるけど」
「隆史おじさんに話して、由貴もその時間は音楽科に強制参加?」
「えー…嘘…」
黒木恭介が「あー俺うっかり何でも出来る秀才じゃなくて良かったー」と言っている。
「ま、ピアノ問題はそれくらいにしといて。四季、お前昨日昼メシ喰わなかったろ!?」
「え?食べたよ」
「…おにぎり1個ね」
「は!?肉も野菜も喰え!!」
俺こいつがまともにメシ喰ってんの見たことねぇ!!と恭介は怒っている。
「今日こそぜってー喰わす!!」
「えー!?レタスはダメ!」
「何だそりゃ野菜嫌いか!」
「じゃなくて、火を通しているものじゃないとダメ!由貴、この人何とかして」
「えーと…。四季に生野菜とか刺し身とかお寿司みたいなものは食べさせないで。要は生もの?免疫力がまだ回復していないらしいから。火を通してあるものは殺菌されているから大丈夫なんだけど」
「何だそりゃ…。お前どんだけだよ」
恭介はがっくりとうなだれ、食べさせようとしていたはずのサンドイッチを引っ込める。
四季は「好き嫌いはないから回復したらね」と穏やかに言った。
由貴が「うっかり四季連れてファーストフード行けないんだよね」と話す。
「生野菜が入ってるから」
「本当は好きなんだけどね」
「うっかり食べるなよ」
四季は食べたものを思い出すように上を向いた。
「…うん。大丈夫」
「大丈夫って、おい」