時は今
別荘の外に出て忍は歩き始めた。近くには川が流れている。
水音に吸い寄せられるように河原にたどり着く。小石がたくさん落ちている。
忍は座るのにいい大きさの石を見つけ、座り込んだ。
生い繁る木々の隙間から斜陽。水面に落ちて金色に光っている。
目の当たりにする世界の澄んだあかるさが心を落ち着かせた。
「──忍」
柔らかな声。名を呼ばれ振り返る。
「四季」
「となり、座っていい?」
「うん」
何を話せばいいのか分からず、ふたりは黙する。
忍の涙はもう乾いていたから、その話を蒸し返すとまた寝た子を起こすようなことにはならないかという感じであった。
忍は落ちている小石を選び始めた。出来るだけ平たくてまるいもの。
2つ、3つ選んで立ち上がると小石を投げた。
小石が川面を水を切りながら跳ねてゆく。5回跳ねた。
「すごい」
四季がそれを見てちょっと感動したように笑った。
「四季も投げてみる?」
「どうすればいいの」
「こう、平たい小石を選んで、平行よりは少し斜めの角度で投げるの」
忍に渡された小石を言われた通りに投げてみる。
大きく2回跳ねて川に落ちた。
「そうそう。そんな感じ」
「ちょっと楽しい」
「男の子たちが川で遊んでいたの。教えてもらったのよ」
「ふーん」
インドアの印象の四季だが、だからなのか好奇心をくすぐられたように、小石を探し始めている。
忍も一緒に探して、ふたりで投げて遊んだ。