時は今



 四季が雛子を連れて音楽科の教室に戻ってきたのを見て、音楽科の生徒は「え」と予想外の展開でも見るような顔をした。

「高遠さんと一緒に衣装作るって言ったし。教室で作ろうって言ったら来てくれた」

「四季くん、ひどいから!教室に戻るまでに、雛子が四季くんに『ひどーい』って何回言うか数えるって!」

「ほら5回目」

「ひどーい!」

「6回目ー」

 何やら妙なノリツッコミの空気が出来上がってしまっている。

 杏やほのかも思わず笑ってしまった。

「高遠さん、一緒に作ろ。やっぱり高遠さんもいないと淋しいし」

 忍もなかば安堵したように、可笑しそうに雛子に言った。

「高遠さん、四季がこういう言い様になっているのって、ずいぶんよ。初めて見たわ」

「何よそれ!」

「良くも悪くも高遠さんだからってことよ」

 座って、と忍は柔らかい調子で、空いている椅子にかけるよう、雛子に言った。

 四季と忍が顔を揃えている輪の中に雛子が入っているのを見て、樹は胸を撫で下ろした。



     *



< 561 / 601 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop