時は今



「各クラスの文化祭までの体育館の使用時間と、当日の使用時間、決定しました。駐車場使用のクラスの件については…」

 翌朝には、由貴は文化祭にやる各クラスの名目と、それに伴う準備期間の各クラスの使用場所、道具などの片付け場所をまとめたものを、朝の職員会議に間に合わせて、職員室に持ってきた。

「綾川先生、由貴くん、並みじゃないですねぇ。学年主任とか出来るんじゃないですかね」

 隆史は「うちの由貴くんですから」という顔で嬉しそうである。親の喜んでいる顔を見て嬉しくないわけではないが。

「親父。昨日校内見回っていたら、文化祭の準備に便乗して他校の生徒も紛れ込んでいた。一応先生たちにひとこと断りを入れてからだったのか確認したけど、気をつけて。生徒によってはどさくさに紛れて悪ノリして騒ぐ奴もいる」

 由貴はぴしりと言った。隆史も気を引き締める。

「ですね。…あ、由貴くん」

「何?」

「高遠さんの件、音楽科の担任に話したところ、音楽科の先生から高遠さんに直接話をしてみたそうです。高遠さんは、邪魔になるようだったら、四季くんと揺葉さんにはもう関わらない、と先生には話したそうなんですが。でも昨日、どうしてだか、高遠さんも含めて、四季くんも揺葉さんも放課後は仲良く音楽科で練習していたって、音楽科の先生は言っていましたよ」

「へぇ…」

 隆史の話だけでは容易には想像はつきにくい。

「四季か忍が無理してなきゃいいんだけど。四季、あまりひどいようだったら、自分が音楽科に移るか、忍が進学科に移ってくるかくらいのことは考えていたみたいだったから」

「まあ、後で僕も四季くんとは話をしてみましょう」

「うん」

 職員会議が始まるようだ。由貴はそれくらいで話は切り上げて、教室へと向かう。

 音楽科の校舎からは文化祭の練習をしているらしく、各パートの楽器の音が滞りなく流れていた。



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