【 側にいるよと笑うから 】
いつものように部活が終わり、自主練も終わり、帰るために生徒玄関に行くと、靴箱前に杉本がいた。
男子部は筋トレ日のはずだから、先に帰ったんだとばっかり思っていた。何かのデジャヴか。
「...なにしてんの。」
「お前と一緒だよ。自主練、走ってた。」
なるほどね。
靴ロッカーからローファーを出しながら外を見ると、天気予報どおりの雨が降っていた。
「おい、パシリ。」
「お願いだからそのあだ名はやめて。」
「傘貸せよ。」
「え無理。」
「パシリだろ。貸せよ、雨降ってんじゃねぇか。」
「わたしにずぶ濡れになって帰れと?!」
必死の抵抗を見せたが、勝てるはずもなくて、あっさりと奪い取られてしまった。