三日月の下、君に恋した
19.森へ続く道



 電話を切ってから、菜生は本のページに記された住所と、北原まなみから最後に届いた手紙の住所が同じであることを確認して、インターネットで最寄駅までの切符を予約した。

 地図でも調べてみたが、かなり不便なところだった。鉄道の駅から住所が示す場所までは距離があるし、バスは途中までしか通っていなかった。

 日帰りは厳しいかもしれない。

 帰りの切符は予約しないでおくことにした。


「菜生さん、何してるんですか?」

 バスルームから出てきた美也子が、部屋をのぞきこんで聞いた。

「週末に出かけるから。たぶん泊まりになると思う」

 バッグに荷物をまとめながら、菜生は答えた。


「旅行ですか? どうしたんですか、急に」

「ちょっとね。土曜には帰ってくるよ」

「え? でも泊まりって……」

「金曜は半休とるつもり」


 あきれている美也子を無視して、菜生は準備を進める。

 航に告げたことで、さらに決心が強くなった。

 何がどうとは説明できないけれど、胸騒ぎがした。急がないと、間に合わなくなる。
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