オールホワイト
これって、一目惚れ?
今まで巻いていたマフラーも、巻かなくなってから、何日が経っただろうか。

春一番で、髪の毛がくずれたって、もうどうでもいい。

俺は今、悩んでいた。


「白(はく)!お弁当忘れてるよ。」


春一番なんて気にせず、朝から爽やかに笑顔を向き出しにしているのが、双子の兄、雪(ゆき)。


一卵性双生児で、身長も体系も顔も髪型も一緒。
違うのは、目つきだけ。俺の方がツリ目だ。


学校では、噂の美形双子だって。
…自分で言うのもナンだけど。


「サンキュ。」


それだけ言って、弁当を受け取る。


さっき、悩んでると言ったのは、コイツの事。
コイツとよく間違えられて、告白される事がある。


本当に好きなら、間違えたりすんじゃねーよって、思うんだけど。
親でも時たま間違えるんだから、それは無理な話なんだ。


この前のバレンタインだって、そんな事があって、いちいち“違う”って言うのも面倒で。


黙って受け取って、雪に後で渡してやった。



…でも、ひとつだけ、渡せないチョコが、あった。


それが、今の悩みだ。
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