オールホワイト
―2月14日。


「佐藤くん。ちょっといい?」


俺と、雪の苗字は“佐藤”。
苗字で呼ばれると、どちらを呼んでるのか、分からない。


廊下で声を掛けられ、立ち止まる。


この女は誰なんだろう?
同じクラスでは無い事は確かだけど。


「ああ、いいけど…」


「いいってさ、ほら!渡しなよ!」


俺を呼んだ女の後ろから、ヒョコッと姿を現した女の子。


髪型はボブで、目は大きくてクリッとしてる。アヒル口で、凄く小柄。


(可愛い…。)


一目で恋に落ちた。


しばらく彼女に見とれていると、我に返って、顔に手を当てる。顔が熱い。きっと今、顔…真っ赤だと思う。


「あの、雪くん…。」


彼女は俯いたまま、後ろに隠していた、綺麗にラッピングされた箱を出す。


……あれ?今、雪って、言った?
俺、白なんだけど…。


「あの、俺…」


「これ、受け取ってください!!」


彼女は、俺にチョコをグッと押し付けて、背を向けて猛ダッシュした。
友達らしい、女も、それに着いて、去って行った。

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