初めては幼なじみ(真樹サイド)~手のかかる転校生~


幸せだった。


例え、光輝の気持ちは彼女に向けられていたとしても、彼女の身代りでも、わたしには……幸せなひと時だった。


着替えを終えて、病室を出ようとしたわたしに光輝がポツリ、ポツリと話し出した。


「真樹が……俺に特別な感情を持ってることはずっと前から気付いてた。そんな真樹との関係が心地いいとも感じていたよ。でも、中学の頃の練習試合で、沙都ちゃんを見かけて……沙都ちゃんね。前に居たT学園で好きだった子に似てたんだ」


「T学園で?」



「うん。俺がそれまで生きて来た中で、一番充実していた時に好きだった子に。野球をする為の、最高の設備が整ってて、日本中から注目を浴びている学園での生活が、俺にとっては、最高の時期だったんだ。でも、親父の浮気と離婚のお陰で、その全ての物を失ってさ。一番キラキラした時期に好きだった子に似ていた沙都ちゃんに、しがみ付きたかったんだ。そんな彼女が必死に俺につくしてくれて、嬉しかったけど、何か……違ってるんだ」



「どう言うこと?」



「沙都ちゃんが俺に差し入れしてくれるお菓子とか、ジュースとか……それはさ。全て……畑野が好きなモノじゃないのかって」


「畑野君?」


「沙都ちゃんの基準は全部畑野なの。自分では気付いてないだろうけど、男の子はこう言う物が好きだろうって……あれ、畑野を基準にしてるんだろうな」


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