Dummy Lover


「あ、羽月さん」

「先生、あの…」

「あら、もしかして今の声聞いた?ごめんなさいね、驚かせて」


私に気付いた先生は、いつの間にかいつもの先生に戻っている。
でも時折ちらっと白谷へ注がれる視線は、鋭いものだった。

私はそんなことより、目の前に白谷泉がいることに動揺していて、言葉が出なかった。




「羽月さん、大丈夫?そんなにびっくりした?」

「え、あ、…いや、」


今まで黙っていた白谷泉が、私に声をかけてくる。
私はまるで前から知り合いだったように白谷泉の口から出てきた自分の名前に、一瞬焦った。


「あ、え…、なんで名前…?」

「あはは。羽月さん、動揺しすぎだよー。うちの学年で羽月さん知らない人はいないと思うよ?超優等生って有名だし」

「あ、そっか…」




出たよ、また。

〝優等生〟

私はどこまで〝優等生〟で、名を馳せてるんだよ。




こんなことを自分で思って、自分で苦笑してしまった。



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