キズナ~私たちを繋ぐもの~


どうしてプロポーズに即答できなかったんだろう。

彼に対して不満なんか無かった。

いつだって私を大事にしてくれる。
それこそ、今日みたいな日に帰りたいなんて言っても、怒らずに家まで送ってくれたりするほど。

仕事だって大手商社の営業。
将来は有望だ。


「ふう」


溜息をつくと、部屋の空気がどんよりする。
溜息って普通の呼吸より重いのかも知れない。

室内の明るさが妙に気になって、テレビはそのままに部屋の明かりを暗くした。

画面から発せられる青い光が、顔を照らしているのが分かる。

ようやく心の中と向き合えそうな気がして、両手を組んで息を整えた。


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