キズナ~私たちを繋ぐもの~

彼と兄と


 司がコンビニの中に入ってくるまでに、15分もかからなかった。

駐車場に止められた彼の車を見た途端に、自分の愚かさに気付く。


私は、一体何をやってるんだろう。

自分から別れようと言っておいて、
今が辛いからと言って彼を呼びつけるなんて。

最低だ。

最低の、女だ。


司はきょろきょろとあたりを見回し、私を見つけて一目散に傍に来た。
私はどう声をかけたらいいか分からず、そのまま、唇を閉じてうつむくことしかできなかった。

一瞬の間を開けて、彼が口を開く。


「やっぱり、俺を頼るんだろ?」

「……」

「いつだって、最後には」

「司」


少しだけ、嫌みの入った口調。
一度止まったはずの涙が、またこみ上げてくる。

彼の言う通りだ。
振り回せないと決めてなお、私は彼を振り回してる。

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