キズナ~私たちを繋ぐもの~
「お茶、ちょうだい」
「うん」
司はマグカップにお茶を入れてきた。
この部屋には湯呑が無い。
几帳面なようでおおらかな司が少しおかしかった。
「達雄さんに言ったのか?」
「……何を?」
「綾乃の気持ち」
ぎくりとする気持ちと、さっきの猛烈に悲しい気持ちが一緒にあふれ出てきて喉元が詰まった。
「言いたくない?」
逃げ場を用意してくれる司に私は首を振った。
これに甘えていては今までと何も変わらなくなってしまう。
迎えに来てくれたんだから。
今日の私の行動を皆見ていて、それでもきてくれたんだから、真剣に向き合わなくてはいけない。