キズナ~私たちを繋ぐもの~

今のは何?
どういうこと?

体が震える。
目尻の奥に込みあがってくるのは、何?


「お……にい、ちゃん」


声を立てずに、口の動きだけで呟いた。

そう、『彼』は兄だ。

その拍子に、瞳に滴が盛り上がる。
目を開けると、堰を失ったかのようにそれは流れ落ちた。

部屋の中にはもう誰もいない。

窓から差し込む月明かりが照らしだすのは、雑然と散らばっている雑誌、洋服。
机の上におやつ用のチョコレート。
何も変わらない自分の部屋。

< 17 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop