キズナ~私たちを繋ぐもの~
「おはよう、綾乃。お前昨日居間で寝てたぞ。風邪ひくから気をつけろよ」
「はーい。ごめん。お兄ちゃんが運んでくれたの?」
「ああ。重かったぞ」
「べーった」
軽口を叩くのも、いつもの兄の態度だ。
安心する一方で胸がズキンと痛む。
やっぱり昨日のは夢かなんかなの?
私の妄想?
でも、私寝てないし、あの感触は妄想なんかじゃない。
兄は私の頭の中なんかお構いなしで新聞を広げ始めた。
それを横目で見ながら、おかずをのせた皿を並べていく。
「お前、昨日誕生日だったろ。司くんとデートとかしなかったのか?」
言われたくないことを、兄があっさりと言いだす。