キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……もしもし」
『綾乃か?』
低く、くぐもった声。
直感で、いつもと違う何かが起こっているのだろうと思った。
「お兄ちゃん……?」
『早く、病院に来てくれ。……母さんが、危篤だ』
「え?」
滑るように、携帯電話が私の手の中から落ちた。
『聞こえてるか? 綾乃、綾乃!』
兄の声が遠くに聞こえる。
視界が定まらず、ゆっくりと携帯電話の落ちた先を見ると、私のむき出しの膝が近くにあった。
そうだ。
今は何も身につけていない。
それさえも、忘れてしまうほど頭の中がうまく動かない。