キズナ~私たちを繋ぐもの~
「俺も間に合わなかった。ほんの、一瞬前だったそうだ」
「うそ……」
ウソでしょう。
まだこんなに、寝ているような顔なのに。
「お……かあ、さん」
返事はない。
眉をピクリとも動かさない。
それ以上踏み出せない私の脇を、医師が神妙な顔で会釈をして出て行った。
喉が渇く。
声がかすれるほど、カラカラする。
「お……さん」
「綾乃」
司が、気づかうように肩に手を乗せる。
その体温がなぜだかとても不快だった。