キズナ~私たちを繋ぐもの~
目覚めた時は病室のベッドの上だった。
しかもそれが母がいた個室だったことに気づき、背筋がぞっとする。
母は、どこに行ったのだろう。
もう霊安室に移されたんだろうか。
それにしても、そのベッドに寝かせるなんて趣味が悪い。
なんだか嫌な気分でベッドから降り、あたりを見回す。
兄や司はどこに行ったのだろう。
ゆっくりと足をつけ、少し歩くと頭が揺れたような気がした。
足取りがおぼつかないので壁に寄りかかるようにして歩く。
扉の近くまで来た時、どなるような声が聞こえ、耳を澄ました。
「……だから、綾乃を連れて帰らせてください。俺たちは今、一緒に暮らしてるんですし」
「駄目だ。……親が亡くなったんだ。葬儀の準備や色々ある。綾乃がいてくれなければ困るんだ」
兄と司が話しあっている。
どうやら、今日私をどちらに連れて帰るかでもめているらしい。