キズナ~私たちを繋ぐもの~




 今日、世界で一番大切な女を迎えに行く。









 目覚ましが鳴る。

午前8時。今日は休みだからと時刻は遅めの設定。

それまでには自然に目覚めるだろうと思っていたのに、予想外に目覚ましの音で目が覚めた。

上半身だけを起こして、カーテンをざっと開けると清々しいほどの青空が広がっていた。


「朝か……」


綾乃が俺の前から姿を消してもうすぐ一年。

居場所を突き止めてからは、長くても2週間に1度は様子を見に行っている。
友人の英治からは、ストーカーとまで言われたこんな状態ももうすぐ一年。


綾乃が自分を変えたいと思っているのなら。

そして、俺がまだ妹としての綾乃を捨てきれないのなら。

迎えに行くべきではないと思い続けた一年でもあった。


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