キズナ~私たちを繋ぐもの~
途端に不安や苛立ちがしぼんで小さくなっていく。
「……そろそろ入っていいか」
俺の口から出る言葉は、何だか情けない。
だけれども、心は優越感にとらわれる。
大丈夫。
綾乃は俺を、選んだんだ。
そういう風に思えるようになったのは、大きな進歩だろう?
笑う彼女の隣に腰をかけて。
俺は不敵な笑みを彼に返す。
『もう君には渡さないぞ』と思い続ける勇気は、
きっと綾乃がくれる。
【fin.】