キズナ~私たちを繋ぐもの~



途端に不安や苛立ちがしぼんで小さくなっていく。


「……そろそろ入っていいか」


俺の口から出る言葉は、何だか情けない。

だけれども、心は優越感にとらわれる。


大丈夫。

綾乃は俺を、選んだんだ。


そういう風に思えるようになったのは、大きな進歩だろう?


笑う彼女の隣に腰をかけて。

俺は不敵な笑みを彼に返す。


『もう君には渡さないぞ』と思い続ける勇気は、

きっと綾乃がくれる。



【fin.】



< 405 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop