キズナ~私たちを繋ぐもの~
「じゃあ、俺はこれで。ごちそうさまです」
なんとか、相川さんとオーナーに笑顔を向けて、テーブル席に戻る。
何故手を握る。
何故そう要領よく、綾乃との距離を縮められるんだ。
どうしようもない感情で、胸が一杯になる。
綾乃はもう俺のものなのに。
司くんに妬くなんて今更だ。
でも駄目だ。
嫉妬心で自分がおかしくなりそうだ。
あと数歩でテーブルというところで、綾乃が俺に気付いた。
口元が緩んで、笑顔が咲く。
それは、先ほど司くんに見せていたものとは少し違う、安心しきった表情。
「綾乃」
ああこの表情。
まだ綾乃が小さい頃、俺が帰ってくると見せた顔と同じだ。
いや、それだけじゃない。
最近でも良く見た。
そう。
キスの後に見せてくれる笑顔と同じ――――