龍神
すると幸が隣にきて、笑っていて
鏡越しに眼が合う
「な、なに!?」
「いやー。真南が泣くのって珍しいなーって思ってよ~。そう言えばあの日、初めて泣いてるの見たんだったなー」
「…そう言えばそうかも」
あの日、目を閉じればまだ残っている光景
みんなが泣いてた
あたしは立てなくなるくらいまで泣き続けた
まだ思い出すだけで泣きそうになるから
あたしはまた、心に赤を閉じ込めた
「ま、そんな顔するんじゃねぇよ」
頭を優しく撫でられた
あたし、幸のこの手が好きだ
ほんとに大好きだ
「幸…ありがとう」
「どういたしましてー。俺にも、真南たちがいるもんなー」
ヘラリと笑う幸の目は、あたしを写していなかった
どこか遠くを見つめていて
空しい、目だった
今にも消えそうで、幸が儚くて