私の烏帽子さまっ!
最低。
私の烏帽子への気持ちは、この二文字に限る。
なんと烏帽子は私の太ももに無断で触れてきたのだ。いや無断で無ければ良いという問題ではないけどね。
『きゃああああ!』
私は溜まらず叫ぶ。けど驚き過ぎて、私の体は固まったまま。
「なに叫んでいるのだ?叫ぶくらいなら、年頃の女がこのように足を出すものではない。」
何言ってんだコイツは!叫ばせているのはお前だし、だいたい制服のスカートはこの長さが普通なんだよ!足見えるのが普通!
『変態!!だからって触ることないでしょ?今の時代これが普通なの。知らなかった?』
「え、そうなのか?しかし目の前に女の足があったら触らずにはいられないだろう。」
あたかも正論のように言う烏帽子。
さらにスカートの中まで意外としっかりした手を忍ばせてくる。
私は顔面蒼白したものの、気付けば烏帽子を殴り飛ばしていた。
『ふざけないでよ、この変態妖怪!!主従関係とか言ってるけど、主に噛みつくような従者なんていらない!』
そう言って、自分の部屋から飛び出した。
いや普段は別に凶暴では無いのだけれど、いわゆる防衛本能というものが働いて烏帽子を殴り飛ばしてしまったのだ。
…多分、仰向けに倒れている状態から烏帽子は気絶しているようだ。
いや、気絶して当然だろう。女の子の太ももを触るなんて、立派な犯罪だ。気絶するくらい殴られるのは当たり前。それで済んだだけでも感謝しなよ。ザマーミロ。
『はぁ。そろそろ洗濯物取り込んで、お風呂掃除して、夕飯の支度しよう。』
ベランダに出ると、日は既に沈み、少々肌寒くなっていた。
気付いたら私まだ制服のまんまだったな。早く着替えよう。…烏帽子に足触られない為にも。
私は階段から降りて、玄関近くにある4畳くらいの納戸へと向かう。その中のタンスから、自分のルームウェアを引っ張り出す。春物のルームウェアだから、半ズボンもあるんだけど、今日は長ズボンにしよう…。色は薄いクリーム色で、淡いピンクの花柄が所々にある可愛いタイプのルームウェアだ。
着替え終えると、さっき取り込んだ洗濯物を一気に畳んで、私・お母さん・隼人(弟)それぞれのタンスの中に入れ込む。これで家事は1つ終了かな。
それから、私は手早くお風呂を掃除して、お湯を沸かしておいた。隼人が帰って来てすぐお風呂に入れるようにね。