紙のない手紙
「乗る…?」




「そうっすよ。魔法使いみたいに跨がるっす。」









あぁ…こいつが乗ってたのって、この旗だったのか…









俺が旗に跨がると、少し前に忠時が跨がった。









「じゃあ…行くっすよ…」









「あぁ…ちょっと…待ってくれ…」








俺は今にも飛び立とうとしている忠時の肩に手をかけ、黙ってこちらを見ているリンを見た。









「なぁ…リン…」









「ん?…何?」













「こいつが百何歳だってんなら…もしかして、お前…」









「……まぁ…あんたよりは約10倍こっちで生きてるわよ…」










「ゲ……ババ…」

「あ゛ん゛?」









「…いや…何でもない…」








そんなメデューサのような目で見るな、恐ろしい…









「ったく、女性に年齢尋ねるなんて…どういう神経してんのよ…」








「わ、悪ぃ…忠時…出してくれ…」









「わ、分かったっす…」
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