琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞はこの上にアバヤを着て、宮殿で大勢の客から挨拶を受けたのである。


『サイード(おめでとうございます)』の言葉をたくさん貰った。

舞はその都度『シュクル(感謝します)』と答える。



王太子の後宮に戻れば、そこは女性ばかりだ。綺麗にお化粧をして、髪も結って貰い、髪には生花が飾られた。

ミシュアル王子も昨夜の黒ずくめから、白いトーブのアラビアンスタイルに戻っている。
 

そして宴の後、舞がミシュアル王子に手を引かれ、連れて来られたのがお風呂場だった。



「すっごーい! アルって本当に王子様なのよねぇ」

「何度もそんなことで感心するな」
 

浴槽には、お湯が見えなくなるほど色とりどりの薔薇の花が浮かんでいる。

俗に言う“薔薇風呂”。

噂では聞いたことがあったが、実際に見たのも入るのも初めての経験だ。


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