琥珀色の誘惑 ―王国編―
日本でも家庭用に売られているが、あのサイズで薔薇風呂といっても、なんだかピンと来ない。

日本のお風呂は実用性が第一で、泡風呂とかもあまり流行らないと聞く。それに浴槽のサイズが違うので、ゴージャス感も段違いだ。


加えてこのクアルンは、日本のように薔薇がいくらでも手に入る環境にはない。

しかも、お風呂に入れる薔薇は少し種類が違うらしい。湯に浸けると花びらが開き始め、より濃密な香りを放つという。冷蔵庫に保管すると数日は持つというのだから不思議だ。


ミシュアル王子は舞と一緒にお風呂に入るため、わざわざ国外からこの種類の薔薇を取り寄せた。それもグロス単位で……。

舞はこの時、グロスを一ダースというグレートグロスの単位を初めて知る。



「これなら、一緒でも恥ずかしくはないだろう」


そう言うと、さっさと自分はトーブを脱いで行く。


(えぇーっ! ちょっと、ウソッ!)


ミシュアル王子が全部脱ぐ気かと思い、舞はアタフタとしたが……。


「なっ! 何で自分だけ水着なわけ? ズルイ!」


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