琥珀色の誘惑 ―王国編―

(23)薔薇はつぼみのまま

鮮やかなタイルの上に、薔薇の花びらが散っている。

白・ピンク・オレンジ・イエロー、それに真紅。濃厚で芳醇な香りがお風呂場いっぱいに広がり、隅に焚かれた香と混ざって、何だか妖しい気分になってしまう。

しかも、今の舞は艶やかな民族衣装――それも、ハーレムのダンサーのような衣装を着せられていた。


水着のビキニのようなトップス。グリーンのベースに金糸が織り込まれ、シッカと呼ばれる硬貨がスパンコールのように使われてキラキラしている。首の後ろと背中で結ぶタイプのものだ。

下半身を覆うスカートは究極のマーメイドライン。腰から膝下まで、身体にピッタリと張り付いたデザインだ。こちらもグリーンで光沢のある生地を使い、シッカがチェーン状に巻かれ舞のヒップを引き立てていた。

問題は……ヒップハンガーのため、おへそが丸見えになることと、下着を穿けないということくらい。

 
そもそも舞がこんな格好をしているのは、伸ばし伸ばしになった歓迎会が王太子の宮殿に戻った当日、行われたからだった。


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