琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ひ、ひきょうものっ!」


そのまま背中のリボンも唇で解き、トップスは薔薇の海に沈んでいく。


「素晴らしい。お前の肌からは甘い香りがする。――この美しい谷間は、千本の薔薇に匹敵するだろう」


ミシュアル王子は舞の胸の谷間にキスしながら『ジャミール(美しい)』と囁く。その声は反響して舞の耳に届き、背筋がぞくっとした。

彼の手の平がヒップをなぞり……舞のあらゆる部分に火を点けて……そのまま次に移る。

もう、アッラーもコーランもどうでもよくなってしまう。


「アル……アルの意地悪」

「後宮でキスをねだったお仕置きだ。次にこの花びらを浮かべた時、お前の薔薇も私のものとなる」


濡れた姿のまま、ミシュアル王子は舞を寝室まで運ぶ。彼の腕の中で目を閉じ、舞はこの幸福が永遠に続くと信じていた。



翌日、再び訪れた国王の後宮で『ミシュアル王子の嘘』を知る、その時まで――。


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