琥珀色の誘惑 ―王国編―
出発の延期を舞の病気と偽っているが、結婚式は四日後の夜に迫っている。

今日中に写真を撮らせたら、明日の朝刊で国中に舞の醜聞が知れ渡る。


だが、ライラはミシュアル王子の失脚までは望んでいなかった。

王太子としての実績と実力と人望。それがあるから、マッダーフもミシュアル王子を敵にしないのだ。

ラシード王子では勝てない。マッダーフの気が変わらないうちに、ミシュアル王子の正妃とならねば……。



ライラはマッダーフ邸の敷地内に与えられた専用の館にいた。

二階建てで使用人は全員女性。王宮か王太子の宮殿に向かう以外は、自由な外出は許可されてはいない。


先日、ヌール妃のご不興を招いた一件で、ライラはマッダーフに酷く叱られた。父は、ミシュアル王子を誘惑出来ないのはライラの努力が足りないせいだ、と言う。


一階玄関ホールの大きな鏡に、ライラは全身を映した。

黒い半袖Tシャツに白い麻のパンツ。ブラウンの髪は天然パーマで、濡れるとウェーブがきつくなる。


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