琥珀色の誘惑 ―王国編―

(12)初めて知った恋だから

外からワッと一際大きい歓声が上がった。


(な、なに? 何があったの?)


舞は息を凝らすが、ミシュアル王子の声もヤイーシュの声も聞こえない。居ても立ってもいられず、舞はスックと立ち上がり、男たちに向かって叫んだ。


『ここはわたし、アーイシャ・モハメッド・イブラヒームの寝室です! 国王陛下、或いは王太子殿下の許可なく、踏み入ることを禁じます!』


(たぶん……こうだったと思う)


それは以前、王宮内のヌール妃の宮でライラや他の女官を追っ払った時の台詞である。

内容はわからないが、一発で女官たちは平伏し、あのライラですら頭を下げて出て行ったのだ。

それが、砂漠の男たち相手に通用するかどうか不明だが……『わたしは日本人よっ!』と叫ぶよりマシだろう。


しかし、次の瞬間、男たちは大爆笑した。

なんと付添いの女性まで口元を押さえて笑っている。


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