琥珀色の誘惑 ―王国編―
ミシュアル王子に喧嘩を売るように仕向けたのはヤイーシュだ。
その理由が舞に対する恋情のみであるなら、この決闘は本物になる。
「私を殺して……寡婦を妻に娶るおつもりか? それとも、舞を側室にしますか?」
アラビア語の問いに、ヤイーシュは日本語で答えた。
その目的は言わずと知れたことであろう。
「何度も言わせるなっ! 私の妻はただひとりだ。側室も正妃もない。舞ひとりだと言っている!」
ミシュアル王子はこれまでと変わらぬ言葉を返す。
だがそれに、ヤイーシュは表情を一変させたのだ。
彼は珍しく、感情を露わにして牙を剥くようにミシュアル王子に斬りかかった。
「長老方が認めねば、あなたは正妃を娶るよりないはずだ! それに――彼女に男子が産まれなくても同じことではないかっ!」
次の瞬間、ヤイーシュが手にしたジャンビーアの切っ先が、風に舞う白いグトラの死角に消え――。
その理由が舞に対する恋情のみであるなら、この決闘は本物になる。
「私を殺して……寡婦を妻に娶るおつもりか? それとも、舞を側室にしますか?」
アラビア語の問いに、ヤイーシュは日本語で答えた。
その目的は言わずと知れたことであろう。
「何度も言わせるなっ! 私の妻はただひとりだ。側室も正妃もない。舞ひとりだと言っている!」
ミシュアル王子はこれまでと変わらぬ言葉を返す。
だがそれに、ヤイーシュは表情を一変させたのだ。
彼は珍しく、感情を露わにして牙を剥くようにミシュアル王子に斬りかかった。
「長老方が認めねば、あなたは正妃を娶るよりないはずだ! それに――彼女に男子が産まれなくても同じことではないかっ!」
次の瞬間、ヤイーシュが手にしたジャンビーアの切っ先が、風に舞う白いグトラの死角に消え――。