琥珀色の誘惑 ―王国編―
さらに、マッダーフは余裕を取り戻しつつ、顎をしゃくるようにして声高に言い放った。
『ああ、言い忘れておりました。私が外国女に産ませた娘ですが……。どうやら女の戯れ言であったようです。ダリャの空港に到着した赤ん坊は赤の他人ですよ』
ライラの娘アーイシャの存在は、ライラにのみ有効な切り札だ。それをミシュアル王子に知られた以上、ライラが純潔でない証としかなりえない。マッダーフにすれば、生きた証拠を敵の手に渡すことは阻止したいはず。
逆に、ミシュアル王子にとっては、自らの支配下に押さえておくのが最良の策だった。
もし、事が明るみになればラシード王子の名誉を傷つけることになる。当然、ライラもただでは済まない。
しかし、マッダーフを失脚させることも可能だ。
『外国女は信用なりませんな。殿下もお気をつけくだされ』
マッダーフはそう言うと、わざとらしく頭を下げた。
そんなマッダーフに向かってミシュアル王子が口にした言葉は……。
『ルナ・アサーニャ。フィリピン国籍で母の名はエバ・アサーニャ。エバは昨春、娘を出産直後に三十八歳で亡くなったという。だが、彼女は三度の流産で不妊と診断され外国人の夫に離婚されている。ルナの他に子供はおらず、娘の父は不明。――さてマッダーフ、このルナの父が誰かわかるか?』
『ああ、言い忘れておりました。私が外国女に産ませた娘ですが……。どうやら女の戯れ言であったようです。ダリャの空港に到着した赤ん坊は赤の他人ですよ』
ライラの娘アーイシャの存在は、ライラにのみ有効な切り札だ。それをミシュアル王子に知られた以上、ライラが純潔でない証としかなりえない。マッダーフにすれば、生きた証拠を敵の手に渡すことは阻止したいはず。
逆に、ミシュアル王子にとっては、自らの支配下に押さえておくのが最良の策だった。
もし、事が明るみになればラシード王子の名誉を傷つけることになる。当然、ライラもただでは済まない。
しかし、マッダーフを失脚させることも可能だ。
『外国女は信用なりませんな。殿下もお気をつけくだされ』
マッダーフはそう言うと、わざとらしく頭を下げた。
そんなマッダーフに向かってミシュアル王子が口にした言葉は……。
『ルナ・アサーニャ。フィリピン国籍で母の名はエバ・アサーニャ。エバは昨春、娘を出産直後に三十八歳で亡くなったという。だが、彼女は三度の流産で不妊と診断され外国人の夫に離婚されている。ルナの他に子供はおらず、娘の父は不明。――さてマッダーフ、このルナの父が誰かわかるか?』