琥珀色の誘惑 ―王国編―
アバヤに包まれ、ミシュアル王子に抱きかかえられてヘリに乗り込んだ。その時にチラッと見えたのが、なんと戦車!

詳しくは教えて貰えなかったが、舞の居所は世界中どこに連れ去られても判るシステムだという。相手がプロの場合、すぐに調べられ解除される可能性は高いが、通常の誘拐には有効。ミシュアル王子が先回り出来たのもそのおかげだ。

それにしても戦車なんて……と思う舞に、王子は得意気に語った。


「半数はラフマーンの戦車だ。合同訓練を近く予定していたらしい。養女とはいえ、お前は自国の王女となる。協力を要請したら、公表しないことを条件にすぐに同意を得られた」


クアルン・ラフマーン合同軍に囲まれたのだ。それはもう逃げられないだろう。

でも、相手はかなり大きい盗賊の一団だったらしい。何十人もの男が兵士に連行されるところが見え、舞は自分が冗談抜きで窮地にあったのだ、とようやく理解した。



全身すっきりして、体をほかほかさせながら舞はバスルームから出る。

一歩足を下ろすと、フカフカのカーペットが素晴らしく心地好い。舞は裸足のままリビングルームに向かう。


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