琥珀色の誘惑 ―王国編―
「アルのこれって、いつもは下を向いてるの? 仮に半分くらい小さくなっても、邪魔じゃない?」

「上を向いているのはお前と居る時だけに決まっておろう。男の証を邪魔だと思ったことはない。今までは完璧にコントロールしてきたのだ。暴れ馬の如く、私の意思に逆らい始めたのは……お前の姿を一目見た時からだ」


舞が下ろした下着をすっかり脱ぎ、床に放り投げた。

ミシュアル王子は彼女の背後に腰を下ろし、そのまま彼女を抱きしめた。彼の両腕が脇の下から出てきて、期待に張り詰めた二つの胸は大きな手に包み込まれる。


「お前の過去に男が存在した時は、永久に黙らせただろう。医者に純潔の証明書を書かせ、長老会議に提出したはずだ」


舞はビックリした。

それは敬虔なムスリムの教えから外れるような言葉だ。


「ほ、ほんとうに? でも軽蔑……し、ない?」


昨夜の性急さが信じられないような、ゆったりとした愛撫である。

舞の息はしだいに上がっていく。


「お前なら赦そう。だが私は、婚約者を奪われた愚かな自分を呪い、相手の男を生涯憎み続けるだろう。それゆえにお前の純潔は尊く、私は昨夜初めて、女性の真の素晴らしさを知ったのだ」


肩口にミシュアル王子の唇を感じ、胸の頂を指先で抓まれた瞬間――新しい夜が扉を開けた。


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